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3月から更新が滞っている当ブログですが、現在も多忙な状況が続き、まとまった形での更新が行えないこともありまして、しばらくお休みさせていただきます。
当ブログを訪れてくださる皆様には大変申し訳ありませんが、しばらくお待ちいただければ幸いです。
現在も作品のレビュー記事は作成しておりますので、目処が立ち次第再開しますが予定としては6月再開を目指しております。
どうぞ今後とも、当ブログをよろしくお願いいたします。
管理者・電気ブラン
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「大事なのは一人でも多くの人が助かる未来を手に入れる事だ
自分が最悪の悪役になっても―」
地球へと訪れた異星人、"リオファルド星人"。
彼ら"ファルディアン"は地球への技術提供を始め友好を深めていたが、ファーストコンタクトから10周年を記念するイベントを機に突如攻撃を開始、地球を第7番目の植民地とする宣言を行う。
地球側全ての火力が無力化される中、たった一つファルディアンに対抗する力があった。
それは、予てからファルディアンを侵略者と見抜き、対抗するためのロボット""エグザクソン"を開発した加農砲介、そして砲介の孫でありエグザクソン操縦者である加農砲一。
人類対ファルディアンの壮絶なる戦いが今、始まる・・・
アフタヌーン誌にて「GUNSMITH CATS BURST」連載中の園田健一の作品。
アフタヌーンにて97年から連載された。
園田版「インデペンデンス・デイ」、いや、「マーズ・アタック!」もしくは「V」か(古っ!)。
宇宙人の地球侵略、それに対抗する力としてのロボットという趣味的要素を含むSFアクションだが、特徴として挙げられるのが描写のハードさ。
「GUNSMITH CATS」でも見られたプロットの細かさ、描写のハードさは内容こそ異なる作品とはいえ充分に発揮されており、単なるヒーローものではない、戦いというものの悲劇がしっかりと描かれ、かといって必要以上な重たさはなく作者の持ち味ともいえる趣味的要素やエロスによって実に楽しめるエンターテイメント作品に仕上がっている。
面白いのは実際の戦争と同じく"情報戦"に主眼が向けられているところで、エグザクソンこそ諸悪の根源だとするファルディアン・サイド、それに対抗し、地球を救う存在だとアピールするエグザクソン・サイドという構図での情報戦は物語当初から終盤まで描かれており、ベトナム戦争、そして湾岸戦争と情報こそが戦局を左右する鍵であることが確かとされた現在、その点を重視し作品へと投影する作者の着眼点は流石といえる。
そして、これは人によっては気に入らない点かもしれないが、描写のハードさは特筆すべき点。
作者の絵柄はややコミカルタッチで、表現としても"どぎつい"ものではないが、本作では戦争、それも人類をかけてという壮大なスケールで描かれているため、監禁、拷問、虐殺など、もうなんでもあり状態。
個人的にはこのハードさによって作品のスケールが増し、また、主人公・砲一の苦悩などが引き立っていると思えるのだが、このハードさに拒絶反応を示してしまう人も少なくはないかと思われる。
また、作者の持ち味ともいえる必要以上のサービスカットは実にエロく、これも個人的には好みなのだが多分、女性層には受けないものであろう。
ものすごくエロいシーンを描いているわけでもないのに、この人の描き方はホント卑猥なんだよなぁ・・・まぁ、好きなんですが。
欠点としては、作者の作品全てに言えることだが少々読みづらく感じられる独特のテンポか。
特に連載中は一話だけ抜粋してもストーリーが分からず盛り上がりも少なく感じられた。
単行本ではさほど気にならない点ではあるが、作者が良作を多く生み出す作家でありながらもマイナーであるのはそこが原因ではないかと思われる。
とはいえ月刊誌、特にアフタヌーンは作者に限らずこの傾向の作家が多いように感じられる。
少年誌のように毎週の盛り上がりが必要とされるタイプの作品ではないとはいえ、どうしても敷居の高さが感じられるのが欠点といえば欠点か。
あと、これもアフタヌーン作品に多いのだが、ラストがさっぱりしすぎ!
アフタヌーンって実は打ち切りとか多いんだろうか・・・?
プロットや台詞の多さなど、どうしてもマニアックな色を持っているが、実に燃えるエンターテイメント作品!
しかし・・・砲介はハーレムすぎだろ!羨ましいヨ!
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「思いしるがいい ここは脱出不可能な島なんだ」
上京を控え、幼馴染み達との時間を過ごす宮本明はある日、謎の女性・青山冷と出会う。
冷は、二年前に行方不明となった明の兄・篤の消息を知っていると言い、明たちを彼女の住む彼岸島へと連れて行くが、そこは人の生き血を吸う吸血鬼たちに占領された島であった・・・
「クーデタークラブ」などの著作を持つ松本光司の作品。
02年よりヤングマガジンにて連載開始、05年にはゲーム化もされた。
新感覚のホラー作品として、いろんな意味で人気の本作。
注目なのは、「クーデタークラブ」から見られた作者独特のけれん味ある表現。
前作での"クーデター"という発想のアナクロさなど、その奇妙なセンスは実に個性的であったが、本作でもそれは発揮されている。
まるでタイムスリップしたかのような彼岸島の古めかしい雰囲気、それに似つかわしくない形で描かれているバイオレンスな吸血鬼たちと、なんというか予想を裏切られたようなミスマッチなセンスは実に個性的。
また、雰囲気を盛り上げている要素として、「ハァハァ」などの擬音や独特の台詞廻し、丸太を武器にするなどの珍妙さや事の発端を戦争まで遡って絡めてしまうプロットなど、ギャグテイストすら感じさせられるぶっ飛び感は実にユニーク。
物語に多く存在する疑問や矛盾点は本来なら欠点ともいえるものだが、それらを逆手にとって楽しむファンも多いようで、このあたりの基本はホラーなのだが、どことなく可笑しさが感じられる描写や展開は本作の特徴かつ魅力であることは間違いないであろう。
ただ、物語は中盤頃からアクション重視の向きに変化し、当初のミステリアスな雰囲気はかろうじて失われてはいないものの、修行したとはいえ別人のように強くなった明の不自然さや、それに合わす形でますます"吸血鬼離れ"していく吸血鬼の姿など、物語のスケールは加速の一途を辿っており、少々風呂敷を広げすぎてしまったのではないかと思える点はある。
その変化によって生まれた少年誌的な要素は先に述べた特徴ともいえるものなのだが、正統なホラー作品からは逸脱する形になっているため、物語当初の雰囲気に惹かれた方や、本作の"ごった煮"さが合わない方には少々敷居の高さは感じられるのではないだろうか。
個人的にはこの"ごった煮"さはユニークで好きなのだが・・・
ますますヒートアップし、広げすぎた風呂敷をどのように畳むのかという点も注目したい作品。
明の仲間達のヘタレっぷりが笑える。
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遂にスタートしました、アニメ「ぼくらの」!
アニメ化されるとは思っていたものの、いざ実現されるとビックリ!
なにせ、ヤバい表現てんこ盛りですがな。
「巨大ロボットを操って世界を救う!」というセカイ系の作品は例を挙げるまでもなく巷に溢れているわけですが、本作の特徴は説得力という意味でのリアリティ。
安易なヒロイズムや輝かしさ、セカイ系にありがちな"閉じた世界"というご都合主義も存在しない。
本作の醍醐味は、"実感できるか"という一点に集約されていると考える。
受け取り方の違いによって非凡とも平凡ともとれるものだが、このあたりの説得力は原作の漫画では優れていると思う。
その点をアニメではうまく表現できるか、その点に注目していきたいと思うところだ。
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「わたしを殺した責任 ちゃんと取ってもらうんだから」
名門・遠野家に生まれた遠野志貴は、幼い頃の事故がきっかけで人や物体の死を点や線で視ることができる"直死の魔眼"という能力を持っていた。
その能力は、命の価値を軽くしてしまうほどの力であったが、自らを"魔法使い"と名乗る女性との出会いにより、志貴はその能力をいたずらに使うことなく成長していった。
そんなある日、志貴は街で見かけた金髪の女性に対し衝動的な殺意が湧きあがり、"直死の魔眼"を使って女性を殺害してしまう。
殺人という行為の恐ろしさと、理由の分からない衝動的な感情に、自らが犯した行為を夢だと思いこむ志貴であったが、そんな志貴の前に殺したはずの女性が現れる・・・
同人ゲームとしては異例のヒットを記録したTYPE-MOONのノベルゲーム「月姫」のコミカライズ作品。
03年に放映開始されたアニメ版「真月譚 月姫」に合わせて電撃大王にて連載開始、07年の現在も連載中。
作画は、同人・アンソロジーコミックなどで活躍していた佐々木少年。
美少女ゲーム界では極めて知名度の高いゲーム「月姫」。
"月オタ"と呼ばれる熱狂的なファンも多く、そのため、03年にアニメ化された「真月譚 月姫」は、耽美的な演出によって原作とは異なる世界観が構築され、原作とのイメージの違いが原因でファンから多くの戸惑いの声があがった。
近年、頻繁に行われるメディアミックスは、その理由は様々であるものの原作とは別物となっているケースが多く見られ、それは原作に固執するファンの気質も問題とはいえるものの、結果としてファンが持つ期待を満足させられない結果に終わることが多いと思われる。
そんな中で本作は、メディアミックスでの数少ない成功例の一つ、ともいえる作品。
"月オタ"とまでは言わないが、自分も「月姫」はファンディスク含め一通りプレイし、自分なりに世界観を理解し、かみ砕いてはいたので本作に対してそれなりに期待感を持っていたのだが、不遜な言い方をさせてもらえば、その期待が全く裏切られなかった、むしろそれ以上であったともいえる作品であった。
物語は、"直死の魔眼"を持つ高校生・志貴と、真祖の吸血鬼アルクェイドを中心に繰り広げられる伝奇アクションで、原作がマルチエンディングのゲームという媒体の違い、また本作がファンディスクを含めて世界観が構成されるという長編ということで、このあたりは当初に不安を持っていた部分であるが、それは連載回数の制約も含め漫画という異なる媒体で表現されているため原作と比較した場合、決して完璧な出来とは言えないが、その条件の中で作者が最大限物語をすくい取ろうとする努力がハッキリと見られ、またそれが成功しているところが本作の見所であろう。
特筆すべきは、本作は特殊な世界観を持ち、それが魅力でもあるのだがそれを受け手に余すことなく伝えようとする語り口が時に冗長過ぎるきらいが見受けられるのだが、その点が実にすっきりとまとめられているところだ。
原作と比較してやや説明不足とも言えなくもないが、ここをさほど気にさせないところに作者の実力の高さが感じられる。
また、やはり文章では盛り上がりに欠けた戦闘シーンなどが"絵"という説得力を持つことによって実に力強くなり、特に序盤のクライマックス、対ネロ戦における迫力は個人的には原作以上の出来と思えた。
また、このあたりは今後の展開にもよるが、原作ではマルチエンディングということで一人のヒロインのみにスポットが当てられた形で進む物語を、その他のヒロインをもうまく物語に絡ませており、このあたりは原作に対する愛情とでもいうべき理解があるのであろう、原作とは微妙に違う展開は新鮮味があり、実に楽しめる。
物語はいよいよ佳境に突入し、どのようなラストを迎えるのか目が離せない!
個人的に、メディアミックスにおける傑作と位置付けた本作、このクオリティを維持したラストを迎えてほしいと切実に願う。
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「海の香りはなんとなくセンチメンタルな想い出を誘う・・・」
「ハートカクテル」「菜」などの著作を持ち、イラストレーターとしても知られる、わたせせいぞうの作品。
角川書店より87年に発刊、96年に文庫化。
88年にはアストラッド・ジルベルトによる同名の企画盤が発売されている。
生活臭を感じさせない男と女が、日本なのにまるで異国のような街で繰り広げる恋模様を、だいたい一話8ページというお馴染みのわたせフォーマットによって描いたショートストーリー。
わたせせいぞうと言えば、鈴木英人の影響とも言われる鮮やかなカラーによるイラストタッチの画風。
本作も、わたせ作品ではよく見られる海を舞台とした物語が多いため、突き抜けるような海のブルー、それと対をなすような建物のホワイトなど、コントラストの効いたカラーの鮮やかさは素晴らしい。
「ハートカクテル」時にはカラーが鮮やかすぎるきらいがあったが、この頃は鮮やかながらもどことなくシックな印象で、絵柄も荒く硬質なものから柔らかみを帯びた穏やかなものへと変化しており、バブル期を象徴する作家でありながらも、すでにその先の落ち着きを目指す動きが感じられ、それが90年代の代表作「菜」へと繋がったのではないかと思える。
とはいえ本作の発刊はバブル期真っ只中の87年、全てに生活感、言い換えれば現実味が薄いラブストーリーは現在の感覚で見るとなんともアナクロで、一歩間違えればコメディともいえるようなもの。
「菜」からはストーリーを重視する向きになったものの、それ以前の作品は雰囲気重視でストーリーが分かりづらいというか、極端に言えば無茶苦茶で、「おめぇら酔ってんじゃねーよ!」と言ってしまいそうな、よく分からない展開と世界観は感情移入が難しく、どうしても視点が傍観者になってしまうので前述の突っ込みが自然と出てしまう。
改めて考えると、80年代はこれを自然に受け容れていたから、不思議な時代だったんだなぁ・・・
しかし、なんだろなぁ・・・近くでタバコ吸ってただけなのに、
「自分のハートがやさしく大きな手で包まれているのを感じた」
とか、展開端折りすぎなのか、あんま考えてないのか・・・
ラストのクリスマスの話も訳分かんない、それをいえばほとんどの話が分かんないんだけどね・・・
80年代の不思議な空気を感じられる一作。
けなしてるわけじゃなくて、良い意味で、デスヨ。
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「今、振りかえれば―あの人も振りかえる―」
「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」などの作品を手掛けた新海誠の最新作。
連作短編という特殊な形態で、「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の三編から成る作品。
ほぼ全ての制作を一人で行った自主制作アニメーション「ほしのこえ」で一躍、注目を浴びた新海誠。
ただ、ドラマ性よりも叙情性が強く表現された、どちらかというと"玄人受け"する作風の持ち主ということもあって、知名度という点においてはアニメファンの間でも未だそれほどでないように思える。
さて、3月3日より劇場公開された今回の作品。
私は5日と9日の二回、公開劇場の渋谷シネマライズへ出向いたのだが、客入りは半分から2/3といったところ。
Yahoo!とのタイアップということで上々の客入りを予想していたのだが、やはり知名度としては未だ高くはないのだと感じられた。
少数スタッフによる、大規模な予算をかけた作品ではないと思われるので興行的な失敗はないと思うが、果たして最終的に成功と成りうるのか、余計な心配だが一抹の不安が感じられた。
さて、本作についてだが、まず欠点から。
欠点といえるものでもないのだが、やはり万人受けする作品ではなかった。
見方を変えれば特長ともなるのだが、ドラマ性の薄い、受け手の精神に訴えかけるような作風は、ほとんど全ての人が共感できうるテーマを扱いながらも、その感動を享受できる人はかなり限られるであろう。
その原因の一つに今回の、"連作短編"という形態が充分には機能しなかったのではないかと思える点があった。
物語は順に、中学生、高校生、そして社会人という形で舞台と時代が変化していくが、受け手がその変化についていくのは容易ではなく、おそらくラストへの帰結は受け手によって捉え方、感じ方は大きく異なるであろう。
ただ、これは監督自身が狙ったものであると思うし、そういった味わい方が新海作品の特徴であると思うのだが、先に述べた知名度という点では頭打ちになってしまうのではないかと思われ、一ファンとしては複雑なところだ。
他、細かい部分で気になる点は、たとえば第一話での貴樹と学校の先輩の会話での流暢過ぎるやりとりなど、演出にやや急すぎる点や、貴樹と明里の関係や、貴樹の人間性がどのように変化したかということの分かりにくさなどが挙げられるが、これは前述の特徴という風にも捉えられるので、単純に欠点とはいえないかもしれない。
さて、次は特長についてだが、新海作品といえば美しすぎる映像、これは前作以上ともいえる素晴らしいものであった。
新海誠は監督として、どういった位置にカテゴライズされているのかは知らないが、自分は橋口亮輔(渚のシンドバッド)や河瀬直美(萌の朱雀)などと同列に捉えている。
"映像作家"と称されるのは、おそらくその制作手法からだと思われるが、映像で語り、心象風景を映し出すような手法は、90年代に隆盛した"映像派"の流れを汲みながらもアニメーションという形態によって、さらに先鋭化したともいえるようなもので、瞬間に意味を含ませるフォトグラフ的な、なおかつ心象風景を映し出す音楽的な表現方法は、真に"映像作家"と称されるべき素晴らしさは改めて言うまでもないが特筆すべきものだろう。
そして今作でのストーリー。
個人的に前二作には気に入らない点があって、それは"ファンタジー"を扱っていたことだ。
今作のストーリー、恋愛を絡めながら主人公の人間的変化を追うようなストーリーは前二作と共通する部分であるが、ドラマ性を高めるためか、アニメという縛りを受けたものか、前二作にはプラスしてファンタジー要素が組み込まれていた。
それはドラマツルギーとしては至極まっとうなものではあるものの、特徴である表現方法とはどうにも遊離しているように感じられ、今一つ物語に入り込むことが出来なかった。
それに対して今作は、ファンタジーなどの要素を排除したことにより、おそらくドラマとしては弱く、それは先に欠点と述べた部分に直結するものではあるものの、テーマとしては極めて強く、そして純度が高い作品に仕上がったと思え、個人的な好みということもあるが期待を上回る、実に素晴らしいものになっていたと思う。
唐突だが、本作で思い起こした作品に吉田秋生の「櫻の園」があった。
この中の「花冷え」で、主人公・敦子の姉、結婚を控えた綾子がかつての恋人と邂逅し思いを馳せるシーンがあるが、今作の最終話「秒速5センチメートル」ラストの際、思い出したのがそのシーンだ。
「あれから10年たっちゃって・・・もうあたしも17の女の子じゃないし あの人も18の男のコじゃない もうあの頃のあたしたちじゃあないんだなぁ」
前述、本作の捉え方、感じ方は人によって異なると書いたが、自分の捉え方はこれだ。
貴樹と明里の関係や、貴樹が囚われ続けているものについては情報が少なく、確かに分かりにくいものはあった。
そのため、おそらくは「消化不良」という声や、受け手の補完による解釈などは自然と多くなるであろうと思われるが、自分は本作で語られたことを以上でも以下でもない、ただそのままに捉えた。
最終話、貴樹と明里にはもはや"断絶"ともいえる深い溝があった。
そして、中学生から社会人へと成長する過程には、お互いに全く異なる歩みを経てきただろう。
その帰結としてのラストがあの結果であり、そこには特に意味も理由も存在しないだろうと思う。
恋愛に限らず、誰しも"かつての"という人は居るだろう。
それは"想い出"かもしれないし、どれだけ心に染み入っているのかは人により異なるだろう。
おそらく本作は、どれほど染み入っているかを映す鏡のようなものだ。
だから、人によっては意味を求め、解釈を行い、また感じ入る度合いも大きく異なるであろう。
ただ、自分によっては考えている以上に染み入った。
それは感動でもない平坦な動きだが静かに、深く染み入った。
おそらく、貴樹にはドラマは存在せず、変化も訪れなかったであろう。
だからこそ美しかった、そんな何気ないものが至上なまでに。
受け手によって大きく左右される、決して万人受けはしない作品。
しかし、個人的には最大級の讃辞を送りたい、静かに残り続ける傑作であり、あるべきと―
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「青春だぜい!!」
横浜、海峰高校に通う"バツ"こと抜刀軍と"テリー"こと一文字輝は、県下でも注目株の豪腕投手とスラッガー。
しかし、野球だけに縛られるのはまっぴらと、喧嘩にバイクにと自由奔放に生きる二人。
そんな二人の前に現れた少女"アン"こと白木アン、アンと知り合ったことで二人は暴走族の抗争に巻き込まれてゆく・・・
「おやこ刑事」などの著作を持つベテラン、大島やすいちの代表作の一つ。
83年から少年マガジン誌にて連載された。
なお、作者の妻は漫画家の川島れいこ、娘に大島永遠と、漫画家一家であることも有名。
これ以降の、現在まで続く少年マガジンのカラーを形作ったともいえる作品の一つ。
野球に不良に恋愛と、少年が持つリビドーをそれまでの泥臭い描写から80年代的な洗練へと導いたことは、間接的であるとはいえ、以降の作品に強い影響を与えたと思える。
物語は、バツ&テリーの、野球に喧嘩に恋愛というハチャメチャな青春を描いた作品で、さすがに現在の感覚からは、バツとテリーを合わせて"バッテリー"というセンスや、長ラン、暴走族といった要素にアナクロさは感じられるものの、ストーリーとしてはさすが実力派、実に安定しており、今でもそれほど古臭さは感じられない。
しかし、少々まとまりすぎている感もあり、野球に暴走族という無茶苦茶な設定でありながらも、作品からはそれほどぶっ飛んだ印象は受けず、むしろ大人しい。
この安定感が本作のヒット、そして講談社漫画賞受賞などに繋がったと言えるものの、物足りなさを感じるのはある・・・
しかし、なんともソツないというか。
大人しい印象といっても、やはりバツとテリーの二人はぶっ飛んでて、下ネタ・・・というかオヤジギャグ連発だし、高校生なのにハーレー乗ったりとやりたい放題だが、キャラの立て方が上手いというか、この嫌みのなさと爽やかさは実力派である作者ならではのものだろう。
とはいえ、1巻のバツとテリーの突然の全裸はビックリしたなぁ・・・単なるヘンタイだヨ。
もはや20年以上も前の作品ということで、すっかり忘れ去られた作品だが、現在でも充分面白い作品。
あと、アンの可愛さも現役だネ! 萌える!
| こちら大阪社会部+α 誤報スクープ編 (1) | |
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